決算書上の利益と税務上の利益について

決算書上の利益と法人税法上の利益(所得)とは必ずしも一致しません。


もともと、会社の利益(決算書の利益)は企業会計原則等により会社の期間損益(一会計年度)を正しく反映させるためなどの目的で算出されるのに対して、法人税法上の利益は、あくまでも税金を課税するための課税標準 として算出されるためで、目的が違うため、通常は一致するとは限りません。

ただし、中小企業については、決算書上の利益と税務上の利益を近づけるため、減価償却費や引当金の計上を税法の限度額以内にするなど、いわば税法会計を取り入れていることが少なくありません。 (参考)

Ⅰ 法人税の課税標準(法21①)


内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。

Ⅱ 所得金額の計算の通則


(1) 所得金額の計算(法22①)

内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

(2) 益金の額(法22②)

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

(3) 損金の額(法22③)

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

① 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

② ①に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

③ 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

(4)会計処理の基準(法22④)

当該事業年度の収益の額及び原価、費用、損失の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。
上記が法人税法の所得金額の算出方法の基本原則です。

決算書上の利益をもとに、上記との相違を、法人税の申告書の「別表四と」いう表で、加算や減算を行ない、法人税法上の利益を算出することになります。


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