法人税の基礎について その2

所得金額の計算方法

 所得金額は、それぞれの事業年度ごとに、「益金の額」から「損金の額」を控除して計算することになっています。 

 なお、益金の額は売上高や営業外収益等、損金の額は売上原価,販管費,営業外費用等と一致している部分が多いため、法人税法上の益金の額と損金の額を一から計算し直すのではなく、企業会計上の利益(決算上の利益)に所定の調整(申告調整)を加えて、法人税の課税標準である所得金額を算出する方法をとっています。  

 具体的には、損益計算書等に記載されている当期利益に加算(益金算入及び損金不算入)や減算(益金不算入及び損金算入)の調整を、法人税の申告書の別表四という表で行って所得金額を計算します。  

[益金算入項目]


 税法上益金とすべきものを会社の経理処理上収益に計上していない場合には、当期利益が所得金額と比べ少なく計上されている事になります。

 従って当期利益に益金算入項目を加算することにより適正な所得金額を求めることになります。

(例) 売上計上もれ、貸倒引当金取崩不足額 等

[損金不算入項目]


 税法上損金とはならないものを会社の経理処理上費用等に計上している場合には、当期利益が所得金額と比べ少なく計上されている事になります。

 従って当期利益に損金不算入項目を加算することにより適正な所得金額を求めることになります。

(例) 減価償却超過額、交際費等の損金不算入額 等

[益金不算入項目]


 税法上益金とはならないものを会社の経理処理上収益に計上している場合には、当期利益が所得金額と比べ多く計上されている事になります。 従って当期利益に益金不算入項目を減算することにより適正な金額を求めることになります。

(例) 受取配当等の益金不算入額、所得税額等の還付金額 等

[損金算入項目]


 税法上損金とすべきものを会社の経理処理上費用に計上していない場合には、当期利益が所得金額と比べ多く計上されている事になります。 従って当期利益に損金算入項目を減算することにより適正な所得金額を求めることになります。  

(例) 貸倒損失認定損,収用等の特別控除額 等

法人税額の計算


課税所得金額 × 税率 = 法人税額

税 率

大法人  (資本金1億円超の法人)  ~ 一律 30% (25.5%)

中小法人(資本金1億円以下の法人)  ~ 年800万円以下の金額が18%(15%)で,年800万円を超える金額が30%(25.5%)です。

(例) 1000万円の課税所得(中小法人、改正後)税金=800万円×18%(15%)+(1000万円-800万円)×30%(2.55%)=204万円

※ 実際には上記で計算した法人税額の他に,特別に加算される税額や控除される税額があります。

(注)平成24年4月1日から開始する事業年度はカッコ内の%となります。

復興特別法人税の導入

平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について各課税事業年度の基準法人税額(所得税額控除等を適用しない場合の法人税の額)に10%の税率を乗じた復興特別法人税が課されることとなりました。

上記の例  204万円×10%=20.4万円

申告納税までの簡単な流れ


(1) 決 算

 企業会計原則や会社法等に基づき決算を行います。

 次に、損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書等の計算書類を作成して、株主総会において承認を受けます。

(2) 申告書の作成

 上記の承認を受けた損益計算書等に記載されている当期利益をもとに、法人税法や租税特別措置法等に基づき、,法人税を課税するもととなる利益(所得金額)と法人税額を計算して、法人税の申告書等を作成します。

(3) 申告書の提出、納税

  法人税の申告書等を税務署に提出(申告)し、税務署や銀行等を通じて法人税を国に納付します。 申告納税は原則として事業年度終了の日の翌日から2月以内に行います。(確定申告)

(例) 3月決算の場合は5月末日

なお、事業年度が6月を超える場合には、半年決算法人と納税時期等を合わせるため、事業年度開始の日から6月を経過した日から2月以内に中間申告を行います。(中間申告)

(例) 3月決算の場合は11月末日

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