僕が煙草をやめた理由

 煙草を吸わない人にとっては到底分かってもらえない、つまらない話ではありますが、私が煙草をやめたのが平成10年11月30日。

もう20年以上も前の事です。

今ではタバコの夢もすっかり見なくなりました。


 事の始まりはこうです。応能負担が原則でもある税金の掟をすっかり無視して、禁煙決行日の翌日からは、「善良なタバコ吸い?」に対し、勝手に国鉄時代のツケを、何の関係も無く押し付けることが決まりました。

 そうです、全然関係がないのに、ただ簡単に税金をとることができるとうことで、勝手にタバコの値上げをする事になったのです。

 「非常にヒドイ話」なのではありますが、私にとっては「非常にいい話」でした。

 タバコが値上げをすると必ずタバコをやめる輩が増えるということですから、この日を境に禁煙をはじめれば、全国各地で必ず自分以外にも禁煙に挑戦している人間が沢山いる訳です。

 ということは自分一人が辛い思いをして禁煙しているというミジメ?な精神状態から比べると、非常に得した?気分で禁煙をすることができるからです。

 今まで何度も値上げを経験してきた私自身にとって、値上げの理由は許せなくても、別に今回の値上げが財政的に非常に厳しくなるということもありませんし、もともとタバコの値上げは昔から賛成でした。

 いっそのこと一箱何千円とかになれば、タバコを吸う子供や女性が減ったり、喫煙マナーが良くなっていいんじゃないかと思っていました。

GO TOP

話は禁煙1月前に遡ります。

「今度タバコをやめるんですよ、値段がちょうど上がりますしね。関係無い税金払うのはしゃくですからね。」と行く先々でいろいろな人に、こう言いまわったのです。

 以前から何度も禁煙をしたことがある私ではありますが、もともと煙草をなんとなく辞めたいとは思ってはいたものの、さほど辞める理由もなく、妻や子供から「身体に悪いからタバコ辞めたら?」といわれても、いろいろな理由をつけて、煙草の百害をねじ伏せるような言い訳を山ほど用意しておりました。

 「百害あって一利なしって言うけど、そんなことは無いんだよ。

 確かにタバコは発ガン性物質を含んでいて、統計学的にも肺がんになる確立や心臓病になる確立も高くなるとか言っているけど、全ての人にあてはまるもんじゃないんだよ...。」

 「暇な時間もあんまりなく、家に篭って時間に追われ、終わりのないような仕事をしている僕のように、特にストレスを貯めやすいような人間にとって、タバコって唯一の息抜きなんだよ。」

 「デメリットだけを鵜呑みにして、文句を言ってるようじゃどうしようもないよ!タバコを辞めるストレスが結果的に僕の寿命を縮めることにも成り得るんだよ」...。

 この様なイイワケ男が何でタバコを辞めようと決心したかといいますと、今までは何でそんなに自信があったのかわからないのですが、絶対的に自分に自信がありました。

 鉄の意志を持っていて決めたことは絶対に守り抜く自信があったのですが、それがなんだか本当にそうなのか、急に自分を信用できないように思えてきてしまったからです。

 今からもう十年以上も前の話です。一度みんなと同じように社会に出た男が、家業を継ぐために会社を辞め、資格を取るために学生に逆戻りをすることになりました。

 当時彼女(今の女房)の親兄弟、仲のいい友達、職場の同僚にさえ会社を辞めて学生の戻ってしまったことが知れ渡ってしまったに私とっては、彼女の手前や世間体もあり、兎に角早急に資格を取って社会復帰をしなければならず、眠さをこらえるために、インスタントコーヒをそのまま舐め、閉じそうな目に塩水をたらし、風呂や便所で条文を唱え、身体が震える副作用を感じながらもドリンク剤を日に何本も飲んで勉強をし続ける日々を過ごしていました。

 自分自身を絶対的に信頼していたため、必ず道は開けると確信していました。

 そんな時代の自分が単なる思い出になりつつあることを、ふと実感してしまったからです。

 もともと自意識過剰な私にとって、自分自身が信用できなくなってしまっては、本当の終わりです。

 今回の禁煙は、自分との戦いです。もしかしたらダメな男になってしまった男との戦いです。負けるわけにはいきません。

 そのような切実な思いで、自分に勝つためにタバコをやめるぞ!ということになったのであります。

GO TOP

 これまた随分昔の話ですが、新婚旅行の時に急な思いつきでタバコをやめると言い出し、旅先で勝手に禁煙をし始めたのですが、タバコを吸えないストレスと禁断症状のイライラが自然と新妻に向かってしまいました。

 その結果、「なんでこんなときに勝手に禁煙して、一人でいらいらして怒っているの!」と新妻を泣かせてしまったことがあるのです。

 当の本人はすっかり忘れていたのですが、何かあるごとに、この話しを何度も聞かされたことを反省し、今回は何事もないようにタバコをやめるぞ!とも心に誓ったのでありました。

禁煙決行日に当時小学生と幼稚園だった子供達を呼んで来ていいました。

「パパ今日でタバコをやめるよ!」

「もしパパがこの先タバコを吸ったら嘘をついた事になるから、、それから先はパパの言う事は聞かなくっていいよ。」

「このタバコが終わったらもう吸わないから、この残っているやつゴミ箱に捨てていいよ!」

となった訳であります。


平成10年11月30日の夜9時頃。一番好きだったハライトを思いっきり吸い込んだのを最後に、ホタルの灯が窓から消えていったのでした。

今ではファミレスとかも禁煙席があくまで待つような身となりました。





GO TOP

税理士のひとりごとへ