いい税理士って?
以前メールで質問を受けました。
自分の顧問税理士が何やらいろいろとアドバイスとかをしてくれず、何やら不信感を持っているみたいです
質問メール
「 悪い税理士と言う言い方には語弊がありますが、税務処理を依頼するについていい税理士さんとはどうなのでしょう。
私は3年程前に会社を起こしましたが、税の事には疎く決算の度に四苦八苦しています。
決まった税理士さんにお願い しているのですが、特にアドバイスのようなものはありません。
こちらの不備もかな りあるのですが、分からない者に対してもう少しアドバイスがないものかと思うのですが、どうなのでしょう。」
私が返信したメール
はじめまして、本来は名前も住所明かさないような人からくるメールには返事は出さない主義ですが、我々税理士に対して不信をもたれており、匿名にしておきたい気持ちもわからないでは有りません。
私自身も、もしかしたら悪い税理士と顧問先から思われているかもしれない、といった気持ちから返事を書くことにしました。
「いい税理士とは何か?非常にむずかしい問題です。」
たとえば我々は法律の専門家であり、申告納税制度の理念にそって、納税者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
と税理士法に規定されていますが、確かにそのとおりということであり、簡単にいうと、適正な申告のお手伝いをするのが仕事ということになります。
ここで、問題なのは納税者の立場にとってということであり、課税する側(税務署等)の立場ではないということです。
だからといって、法律に違反するような脱税を認めるような行為は行ってはならず、当然脱税相談等も税理士法に規定されていなくても、法治国家で生活する以上、これらの行為を行ったり見逃したりする税理士は悪い税理士です。
これは、法律に反する、犯罪行為であるということもありますが、結局はその法人にとっても悪い結果となることが多いのも事実です。
重加算税を課せられたり、ひどいケースの場合は法人税法または所得税法違反とかで、検挙され実刑にもなったりするわけですが、そうならないケース(脱税が見つからないケース)でも、だんだん歯止めが利かなくなり、放漫経営によって会社が傾くことになるでしょう。
したがって、いい税理士というか、悪くない税理士は脱税行為等の誤った道に走らせないようにするのも条件のひとつでしょう。
ただし、これもまた線引きが難しいのですが、ダメなものはダメなのですが、グレーゾンの取り扱いは当然経営者とも相談のうえ、納税者サイドに立った処理を行ったり、いわゆる節税についても積極的に行うのもいい税理士の条件かもしれません。
ただし、これもまた判断が難しいのですが、税金を払わなければいいのかというと、そうでもなく、会社が大きくなるには必ず税金を払いつづけなければ大きくなりません。
利益100万円に対して、例えば税金が40万円払ったとしても、お金は60万円残っています。
会社はこの税引き後のお金の蓄積により大きくなっていくのです。
したがって、ある程度会社にお金がたまるまでは、「経費になるからといって、あまり必要としていない物をまとめて買ってしまって節税?すればいいのでは!」とはいいきれないケースが多々あるからです。
最終的な判断は経営者が行うべきことですが、その判断の材料となるものを税理士が提示する必要があるのも当然ですが、人によっては、誤った方向に行きそうなときだけ、教えてもらえばいいと思っている経営者もいますし、細かい経理や税務の知識を教えてもらう必要性は感じておらず、そんなことを勉強する時間があったら、仕事をしてたほうが会社は儲かるという経営者もいます。
貴社の税理士がアドバイスをしてくれないとのことですが、何も求められていないため、現状で満足していると思ってるかもしれません。
お互い信頼関係がなければ、いろいろな話もでてこないでしょうし、どういうことが分からないとか、何をして欲しいのかを、もっと貴社側からもっと話しかけたらいかがでしょうか。
きっと、いろいろと教えてくれる事と思います。